Research Report / 調査データ

役員報酬の相場・実態

一人社長がいちばん迷うのが「自分への役員報酬をいくらにするか」です。周りに同じ立場の人がいないと、相場が分からず決めきれません。公的データで言えること・言えないことを整理し、決め方のルールと、報酬別の社会保険料の早見まで、出典付きでまとめました。

役員の平均給与は国税庁「民間給与実態統計調査」の令和5年分の値で、大企業の役員や従業員を含む平均です。一人社長・マイクロ法人だけの役員報酬の分布を示す公的統計は存在せず、「一人社長はいくらが普通か」を数字で断定はできません。社会保険料は令和8年度・東京・協会けんぽ・40歳未満(介護保険なし)を前提とした料額表どおりの金額です。40歳以上は介護保険料(1.62%)が上乗せされます。2026年7月時点の情報にもとづく目安です。 最終更新 2026-07-11

役員の平均給与(全体・令和5年分)

約801万円

国税庁の統計値。ただし大企業の役員も含む平均で、一人社長の相場とはイコールではない。

資本金2,000万円未満の役員平均

約634万円

小規模層の役員平均。従業員を抱える会社も含むため、一人社長だけの数字ではない。

給与所得者 全体の平均(令和6年分)

478万円

従業員も含む給与所得者全体の平均。役員平均との対比の目安に。

一人社長「いくらが正解」の公的分布

なし

一人社長・マイクロ法人に限定した役員報酬の公的な分布統計は存在しない。相場より「自社での最適化」で決める領域。

数字の読み方の注意:上の役員平均(約801万円・634万円)は大企業や従業員を含む平均で、そのまま「一人社長の相場」ではありません。一人社長に限った公的な分布はなく、相場を追うより「自社でいくらが有利か」を社会保険料・税金・年金のバランスで決める領域です。

役員報酬を決めると、社会保険料はいくら?

役員報酬の月額を選ぶと、健康保険+厚生年金の保険料が出ます(令和8年度・東京・40歳未満)。会社と本人で折半します。

役員報酬(月額)

会社負担(月)

¥28,150

¥337,800

本人負担(月)

¥28,150

¥337,800

合計(月)

¥56,300

¥675,600

健保17級 / 厚年14級会社負担は経費になりますが、その分の現金は毎月出ていきます。

※健康保険9.85%+厚生年金18.3%(令和8年度・東京・介護保険なし)。40歳以上は介護保険1.62%が上乗せ。標準報酬月額の等級で丸められます。手取りは別途、所得税・住民税がかかります。

1. 報酬別の社会保険料 早見(令和8年度・東京)

役員報酬を決めると、健康保険と厚生年金の保険料が自動で決まります。会社と本人で折半し、会社負担分は経費になりますが、その分の現金は毎月出ていきます。40歳未満(介護保険なし)の折半額です。

役員報酬(月額)等級会社負担(月)合計(月)合計(年)
8.8万円健保4級 / 厚年1級¥12,386¥24,772¥297,264
15万円健保12級 / 厚年9級¥21,113¥42,226¥506,712
20万円健保17級 / 厚年14級¥28,150¥56,300¥675,600
30万円健保22級 / 厚年19級¥42,225¥84,450¥1,013,400
50万円健保30級 / 厚年27級¥70,375¥140,750¥1,689,000

健康保険9.85%+厚生年金18.3%(令和8年度・東京・労使合計)。厚生年金は標準報酬月額65万円で頭打ち。40歳以上は介護保険1.62%が上乗せされます。維持費全体は 一人社長の年間維持費 も参照。

2. 役員報酬の決め方の基本ルール

相場が分からなくても、押さえるべきルールは決まっています。ここを外すと、せっかくの報酬が経費にならず法人税が増えてしまいます。

毎月「同額」で、事業年度開始から3か月以内に決める

役員報酬を経費(損金)にできるのは、原則「定期同額給与」(1か月以下の一定期間ごとに同じ額を支給)にした場合です。金額を変えられるのは、事業年度が始まってから3か月を経過する日まで。期の途中で自由に増減すると、増額分などが損金に算入できず、法人税が増えることがあります。

国税庁 タックスアンサー No.5211「役員に対する給与(定期同額給与)」

高くする・低くするのトレードオフで決める

報酬を高くすると、個人の所得税・住民税・社会保険料が増える一方、法人に残る利益が減って法人税は下がり、将来の年金は増えます。低くするとその逆で、法人に利益が残って法人税がかかり、将来の年金は減ります。「個人+法人のトータルでいくらが有利か」を見て決めるもので、一律の正解はありません。

国税庁 タックスアンサー No.5211「役員に対する給与(定期同額給与)」

3. 迷ったら:報酬設計は一度プロに

役員報酬は「個人+法人トータルでいくらが有利か」の判断で、社会保険料・所得税・法人税・年金が絡みます。設立初年度や利益が読めるようになった時期に一度、税理士に試算してもらうと、払いすぎ・取りすぎを避けられます。決算だけ・スポット相談でも対応でき、税理士マッチングで自社に合う相手を無料で探せます。

毎月同額の役員報酬の支給と源泉徴収・社会保険の管理は、クラウド会計・給与ソフトを使うと自動化できます。定期同額のミスも防ぎやすくなります。

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よくある質問

Q. 一人社長の役員報酬は、いくらにするのが普通ですか?

一人社長・マイクロ法人に限定した役員報酬の公的な分布統計は存在せず、「普通はいくら」を数字で断定はできません。参考として国税庁「民間給与実態統計調査」の役員平均給与は約801万円(令和5年分)、資本金2,000万円未満で約634万円ですが、これは大企業や従業員を含む平均で、一人社長の相場とは別物です。実際は所得税・住民税・社会保険料・法人税・将来の年金のバランスで、個人と法人のトータルの有利さから決めます。

Q. 役員報酬は、あとから自由に変えられますか?

いいえ。経費(損金)にするには原則「定期同額給与」(1か月以下ごとに同じ額を支給)にする必要があり、金額を変えられるのは事業年度が始まってから3か月を経過する日までです。期の途中で自由に増減すると、増額分などが損金に算入できず法人税が増えることがあります(法人税法34条・国税庁タックスアンサーNo.5211)。

Q. 役員報酬を月8.8万円のように低くすると、社会保険料はいくらですか?

令和8年度・東京・40歳未満(介護保険なし)の場合、月8.8万円なら健康保険+厚生年金の折半額は、会社負担・本人負担それぞれ月12,386円(合計月24,772円=年約29.7万円)です。8.8万円は厚生年金の下限等級で、報酬をこれ以下にしても社会保険料はこの水準が下限になります。

Q. 役員報酬を上げると、社会保険料はどこまで増えますか?

厚生年金は標準報酬月額65万円で頭打ちになり、それ以上報酬を上げても厚生年金保険料は増えません。健康保険は標準報酬月額139万円まで刻みが続きます。たとえば月50万円なら折半額は会社・本人それぞれ月70,375円(年約84万円)です。

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出典(一次情報)