Editorial / フリーランス・独立

フリーランスの案件獲得|エージェント・直請け比較2026

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【重要】本記事は2026年6月時点の情報に基づく一般的な整理です。報酬やマージンの条件は各サービス・契約により異なり、収益を保証するものではありません。税務の個別判断は税理士または所轄の税務署に、契約トラブルはフリーランス・トラブル110番(国の相談窓口)や弁護士にご確認ください。

フリーランスの案件獲得チャネルは4つ|まず全体像をつかむ

独立して最初の数か月、いちばん怖いのは「来月、いくら入るか分からない」ことです。会社員のときは仕事が割り振られてきましたが、独立後は受注経路を自分で作るしかありません。その経路は、大きく4つに整理できます。

1つ目はエージェント(フリーランスエージェント)。営業を代行してくれる仲介会社に登録し、稼働できる時間・スキル・希望単価を伝えると、条件に合う案件を紹介してくれます。営業が苦手でも稼働を埋めやすいのが利点です。

2つ目は直請け(直接契約)。発注企業と直接契約する形で、間に会社が入らないぶん手取りを最大化しやすい一方、営業・契約・請求・与信管理まで自分で担う必要があります。

3つ目はクラウドソーシング。オンライン上で公開された仕事に応募・受注するプラットフォーム型です。小さな案件から始めやすく、実績ゼロからでも取り組めますが、システム手数料が引かれ、単価競争になりやすい面があります。

4つ目は人脈・紹介(リファラル)。前職のつながりや知人経由で仕事を受ける形です。信頼ベースで条件を交渉しやすい一方、再現性が低く、これだけに頼ると受注が途切れたときに弱くなります。

どれか1つに絞る必要はありません。むしろ独立直後は、時間軸で重ねていくのが現実的です。①クラウドソーシングや紹介で小さく実績を作り、②エージェントで稼働を埋めて収入を安定させ、③直請けで単価を上げていく。最初から完璧な経路は組めないので、まず1本通して入金の感覚をつかむところから始めます。

案件獲得チャネルの比較

チャネル手取り案件の安定性営業の手間向いている人
エージェント中(マージン控除)営業より実務に集中したい人
直請け単価を最大化したい人
クラウドソーシング低〜中実績を積みたい初期段階
人脈・紹介低(不安定)すでに信頼関係がある人

副業から独立を目指す段階の人は、副業の始め方ガイドもあわせて参照してください。

フリーランスエージェントとは|仕組みと中間マージンの相場

エージェントは、フリーランスと発注企業の間に立ち、案件紹介・単価交渉・契約手続き・報酬の支払いまでを代行するサービスです。営業を任せられるぶん、自分は実務に集中できます。

その対価が中間マージン(手数料)です。発注企業がエージェントに払う金額(クライアント単価)と、エージェントがフリーランスに払う金額(フリーランス単価)の差額がマージンになります。たとえばクライアント単価が月70万円、手取りが月56万円なら、差額の14万円(20%)がマージンです。

相場はおおむね20〜30%といわれます。ただし一部のエージェントはマージン率を公開しています。たとえばテクフリはマージン10%を公開し、PE-BANKは手数料を10〜15%(利用期間に応じて15%から10%へ段階的に下がる)と公開しています。率が低いほど手取りは増えますが、低ければよいとも限りません。

マージンの中身を分解すると、納得できる部分とそうでない部分が見えてきます。営業代行・契約事務・入金前の報酬立替・福利厚生のように対価がはっきりしている部分もあれば、サポートが薄いのに率だけ高いケースもあります。率の数字と、そこに何が含まれるかをセットで見るのが現実的です。

商流で手取りが変わる|直請け・二次請け・孫請け

同じ「月単価60万円」の案件でも、手取りは商流(しょうりゅう)の深さで変わります。商流とは、発注元からフリーランスに仕事が届くまでに何社が間に入るかを指します。

  • 直請け(一次請け): 発注企業がエージェントに直接依頼した案件。間に入るのが1社なので、マージンが乗りにくく手取りを確保しやすい。
  • 二次請け: 発注企業→A社→エージェントと、間に1社多く入る案件。A社のマージンも乗るため手取りが目減りしやすい。
  • 孫請け以降: さらに商流が深い案件。間に入る会社が増えるほどマージンが累積し、フリーランスの手取りは下がりやすい。

提示単価が高く見えても、商流が深いと実際の手取りは想定より少なくなります。逆に、エージェントが発注企業から直接受けている直請け案件は、同じ予算でも手取りが厚くなりやすい。案件を比べるときは、単価の数字だけでなく「直請けか」「間に何社入るか」を聞くのが、削られないための第一歩です。

職種で合うサービスは変わる|エンジニア・コンサル・クリエイター

エージェントやサービスは、得意な職種で性格が分かれます。自分の職種に強いところを選ぶと、案件数・単価・サポートの質が噛み合いやすくなります。職種ごとに、独立初期につまずきやすい点もあわせて見ておきます。

エンジニア(ITフリーランス)は、フリーランス市場で案件数が最も多い職種です。週5常駐からリモート・週2〜3稼働まで幅があり、エージェントの数も多いので、複数登録して比較しやすい領域です。つまずきやすいのは、稼働を埋めた瞬間に営業が止まり、契約が終わると一気に空くこと。稼働中も次の当たりをつけておくのが安定の条件です。

コンサルタントは、戦略・IT・業務改善などの上流案件が中心で、単価が高い反面、求められる経験値も高くなります。最初の壁は実績の言語化です。守秘で社名を出せない案件をどう語るかで、提示単価が変わります。コンサル特化のエージェントは、事業会社では出会いにくい高単価案件を扱うことがあります。

クリエイター(デザイナー・ライター・動画など)は、クラウドソーシングで小さく実績を積み、その後にエージェントや直請けへ広げる流れを取りやすい職種です。入口は単価競争になりがちなので、いかに早く「指名・継続」に移すかが分かれ目になります。ポートフォリオはそのための名刺です。

どの職種でも、1つに絞らず複数を併用し、案件を横並びで比べるのが現実的です。同じスキルでもサービスによって提示単価が変わるため、比較すること自体が単価交渉の材料になります。

フリーランス新法で何が変わったか|2024年11月施行

ここは制度の話なので読み飛ばしたくなりますが、1つだけ覚えてください。「条件は書面でもらう」。これだけで、独立初期のトラブルの大半は防げます。

その根拠になるのが、2024年の制度変更です。「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(通称フリーランス新法)が2024年11月1日に施行され、フリーランスに業務を委託する発注事業者に一定の義務が課されました。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、取引適正化は主に公正取引委員会・中小企業庁、就業環境の整備は主に厚生労働省が執行を担います。

言葉を先に整理します。この法律でいう特定受託事業者とは、業務委託を受ける側のうち従業員を雇っていないもの、つまり個人事業主や代表者1人だけの法人で、これがいわゆるフリーランスです。仕事を委託する側で従業員を使用する事業者を特定業務委託事業者といい、義務の一部はこの発注側に課されます。

発注者の主な義務は次のとおりで、委託の期間によって段階的に増えます。受注側にとっては「自分が守られるポイント」です。

  • 取引条件の明示(すべての委託): 業務委託をしたら、直ちに書面または電磁的方法(メール・SNSのメッセージ等)で、業務内容・報酬額・支払期日などを示す。
  • 報酬支払期日(すべての委託): 成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定め、期日内に支払う。
  • 募集情報の的確表示(すべての委託): 募集情報に虚偽や誤解を生じさせる表示をしない。
  • ハラスメント対策(すべての委託): 相談対応など必要な体制を整える。
  • 7つの禁止行為(1か月以上の継続委託): 受領拒否・報酬減額・返品・買いたたき・購入利用強制・不当な経済上の利益提供要請・不当なやり直し(給付内容の変更)を禁止。
  • 育児介護への配慮・中途解除の予告(6か月以上の継続委託): 育児介護と業務の両立への配慮、中途解除・不更新時の30日前予告・理由開示。

口約束で始めて、報酬や納期が曖昧なまま進む。独立初期に多いトラブルです。新法で「条件を書面で示す」ことが発注者の義務になったので、曖昧なまま着手を求められたら、明示を求めて構いません。困ったときは国の「フリーランス・トラブル110番」(厚労省委託の無料相談窓口)に相談できます。

発注者の義務と適用される委託の範囲

発注者の義務適用される委託
取引条件の明示/60日以内の支払い/募集情報の的確表示/ハラスメント対策すべての業務委託
7つの禁止行為(報酬減額・買いたたき 等)1か月以上の継続的委託
育児介護への配慮/中途解除の30日前予告・理由開示6か月以上の継続的委託

案件獲得後のお金まわり|請求書・源泉徴収・インボイス

案件を獲得したら、次は請求と税務です。会社員時代は会社がやってくれていた部分を、自分で回します。

まず請求書。月末締め翌月払いなど、契約で定めた条件で発行します。当サイトの請求書作成ツールで、インボイス対応の請求書をすぐ作れます。

次に源泉徴収。原稿料・デザイン料・講演料など一定の報酬は、発注者が支払い時に所得税を源泉徴収(原則10.21%)します。源泉された分は前払いした所得税にあたり、確定申告で精算します。仕組みは源泉徴収のやり方ガイド、天引き後の手取りは源泉徴収税の計算ツールで確認できます。

そしてインボイス(適格請求書)。発注先が課税事業者の場合、インボイス登録の有無で取引に影響が出ることがあります。登録すべきかは売上規模や取引先によって変わるため、インボイス登録の判断ガイドで整理してください。

事業所得として申告するには帳簿書類の保存が前提です。案件が増える前に記帳を仕組み化しておくと、確定申告がラクになります。開業届をまだ出していなければ、開業届の出し方ガイドも参照してください。

よくある失敗|単価未確認・契約書なし・1社依存・申告漏れ

独立初期に起きやすい失敗を4つ挙げます。

単価を手取りベースで確認しない。提示単価がクライアント単価なのか、源泉徴収後の手取りなのかを確認しないと、入金額が想定とずれます。「月60万円」が額面か手取りかは必ず聞きます。

契約書を交わさず口約束で始める。報酬・納期・成果物の範囲・修正回数が曖昧なまま着手すると、後から「言った言わない」になります。新法で取引条件の明示は発注者の義務になったので、書面・メールでの条件提示を求めて構いません。

1社・1エージェントに依存する。収入源が1つだと、その契約が終わった瞬間に収入がゼロになります。複数チャネルを併用してリスクを分散します。

確定申告・インボイスの準備を後回しにする。記帳をためると申告期に苦しみます。源泉徴収された分は申告で取り戻せるので、支払調書や報酬明細は捨てずに保管します。

まとめ

フリーランスの案件獲得は、エージェント・直請け・クラウドソーシング・人脈の4チャネルを組み合わせるのが基本です。軸は単価防衛。マージン(率)・商流(経路)・新法(権利)の3つを押さえると、提示された単価から手取りを削られにくくなります。

2024年11月のフリーランス新法で、発注者には取引条件の明示や60日以内の支払いが義務付けられました。受注側も「守られるポイント」を知っておくと交渉しやすくなります。

最初から完璧な受注経路は作れません。まず1チャネルで実績を作り、入金の感覚をつかんでから2本目を足す。それで十分です。請求や源泉の実務はツールに任せて、案件を取ることに時間を使ってください。

参考資料・公的一次ソース