Editorial / 副業・独立

副業の始め方 完全ガイド 2026|確定申告・開業届・独立まで

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【重要】本記事は2026年6月時点の情報に基づく一般的な整理です。個別の判断は税理士または所轄の税務署に、住民税についてはお住まいの自治体に、副業の可否については勤務先の就業規則でご確認ください。

副業を始める前に確認すること|就業規則と社会保険

副業を始める前に確認するのは、勤務先の就業規則です。厚生労働省は副業・兼業を原則認める方向で、モデル就業規則第70条も「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と定めています。法律で副業が一律に禁止されているわけではありません。

ただし、会社が副業を制限・禁止できる場合があります。モデル就業規則では、①労務提供上の支障がある|②企業秘密が漏洩する|③会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある|④競業により企業の利益を害する、のいずれかに該当する場合に制限できるとされています。勤務先の規定がモデルと同じとは限らないため、自社の就業規則を必ず確認してください。

社会保険(健康保険・厚生年金)についても押さえておきます。副業の収入が「給与」ではなく事業所得や雑所得であれば、健康保険・厚生年金は本業の給与だけで計算され、本業の社会保険のままです(金額の多寡を問いません)。一方、複数の勤務先から給与を受け取り一定の要件を満たすと、「二以上事業所勤務」の手続きが必要になります。将来法人を設立した場合は、法人として社会保険への加入義務が生じます。

まず開業届や報酬計算の準備を進めたい方は、当サイトの開業届作成ツール源泉徴収税の計算ツールも活用してください。

副業の確定申告と20万円ルール|所得税の基準

副業で誤解が多いのが「20万円ルール」です。これは所得税の取り扱いで、国税庁No.1900によると、1か所から給与を受けていて年末調整が済んでいる会社員でも、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要になります。

ここで重要なのは、20万円は「所得」であって「売上(収入)」ではない点です。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額(利益)を指します。たとえば副業の売上が30万円でも、経費が15万円かかっていれば所得は15万円となり、この場合は20万円以下です。フリマアプリなどの副収入も、所得が20万円を超えれば申告の対象になります(ただし、生活用動産の売却益は原則として非課税です)。

注意したいのは、20万円ルールが「申告不要」を常に保証するわけではないことです。医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税の還付などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得もあわせて申告する必要があります。

副業報酬から源泉徴収されている場合の税額を確認したいときは、源泉徴収税の計算ツールで目安を試算できます。

所得税の20万円ルールの整理(会社員の場合)

状況所得税の確定申告
給与・退職以外の所得が年20万円超必要
上記が20万円以下で、他に申告事由がない原則不要(ただし住民税の申告は別途必要)
20万円以下でも医療費控除・還付申告などをする副業所得も含めて申告が必要

住民税は別の手続き|20万円以下でも申告が必要

住民税は所得税とは別の手続きです。所得税の20万円ルールは所得税だけに適用され、住民税には適用されません。

そのため、副業所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要です。所得税の確定申告をすればその情報が自治体にも共有され住民税の申告は不要になりますが、確定申告をしないケースでは住民税の申告漏れが起きやすくなります。住民税の申告方法や期限はお住まいの自治体によって異なるため、各自治体の案内で確認してください。

所得税が不要でも住民税は別

「副業所得が20万円以下だから何もしなくてよい」と考えると、住民税の申告漏れにつながることがあります。所得税の申告が不要でも、住民税はお住まいの自治体への申告が必要です。期限や方法は自治体ごとに異なるため、早めに確認しておくと安心です。

事業所得か雑所得か|区分と開業届

副業の所得は、規模や実態に応じて「事業所得」か「業務に係る雑所得」に分かれます。令和4年分以後の所得税基本通達35-2の改正により、この区分は社会通念に照らして総合的に判定されます。

目安として、帳簿書類の保存があり社会通念上事業と認められる場合は概ね事業所得、帳簿書類の保存がない場合は原則として業務に係る雑所得とされます。ただし、収入金額が300万円を超え、かつ事業と認められる事実がある場合は事業所得となり得ます。「帳簿さえあれば必ず事業所得になる」「開業届を出せば必ず節税できる」と断定はできません。

事業所得(青色申告)であれば、他の所得との損益通算や青色申告特別控除といった選択肢があります。一方、雑所得はこれらの対象外です。

事業所得の規模になったら、個人事業の開業届を提出します。提出のタイミングは下のHowToと開業届の書き方ガイドで詳しく解説しています。実際の書類作成は開業届作成ツールが使えます。雑所得の段階では、開業届の対象にはなりません。

事業所得と業務に係る雑所得の目安(令和4年分以後)

判定の目安区分損益通算・青色申告特別控除
帳簿書類の保存があり、社会通念上事業と認められる概ね事業所得適用の余地あり
帳簿書類の保存がない(収入300万円超かつ事業の事実があれば事業所得となり得る)原則 業務に係る雑所得不可

副業の主な種類|物販・スキル販売・コンテンツ・代理店/FC

副業にはさまざまな形があります。代表的なものを整理します。

物販・せどりは、仕入れた商品やハンドメイド品などを販売する形です。在庫や仕入れ資金が必要になります。スキル販売は、ライティング・デザイン・翻訳・プログラミングなど、自分の技能を提供する形で、初期費用を抑えやすいのが特徴です。コンテンツ運営は、ブログや動画などで収益を得る形で、収益化まで時間がかかりやすい一方、蓄積したコンテンツが資産になる場合があります。

代理店・フランチャイズ(FC)は、本部のブランドや商材、ノウハウを使って加盟者が事業を行う形態です。加盟金やロイヤリティなどの費用がかかる場合や、本部から運営支援を受けられる場合があります。継続課金型の商材を扱うと、ストック型(継続的)の収益になり得ます。

いずれの形でも、収益が保証されるものではありません。代理店・FCを検討する際は、初期費用・継続費用・本部の支援内容・解約条件などを契約前に確認してください。これらの情報開示については中小企業庁や公正取引委員会の情報も参考になります。

「会社にばれる」仕組みと住民税の納付方法

副業が勤務先に伝わる経路としてよく挙げられるのが、住民税です。住民税は前年の所得をもとに計算され、会社員の場合は通常、勤務先の給与から天引きされる「特別徴収」になります。副業の所得が加わって住民税額が増えると、勤務先がその変化に気づく可能性があります。

確定申告書では、副業分の住民税について「自分で納付(普通徴収)」を選べる欄があり、これを選ぶと副業分を給与天引きから分離できる可能性があります。ただし、自治体の運用によっては特別徴収に合算されることもあり、「確実に知られない」と断定はできません。確実な分離を前提にせず、副業の可否はあくまで就業規則に沿って判断してください。

軌道に乗ったら|開業・独立への進め方

副業が安定して収益を生むようになったら、開業や独立を検討する段階です。順を追って進めます。

まず、記帳を仕組み化します。事業所得として申告するには帳簿書類の保存が前提になるため、早い段階で会計の流れを整えておくと、確定申告の負担が軽くなります。クラウド会計ソフトの比較は会計ソフト比較ガイドが参考になります。

次に、事業所得の規模になったら開業届を提出し、青色申告を検討します(下のHowTo参照)。売上が伸びてくると、消費税のインボイス制度への登録を判断する場面も出てきます。登録すべきかはインボイス登録の判断ガイドで整理しています。

さらに事業が大きくなれば、法人化も選択肢に入ります。法人にすべきかどうかの目安は法人化のタイミング解説を参照してください。なお、副業先や独立先そのものを探している段階であれば、複数業種の案件をまとめて比較する方法もあります。

2026年の税制改正と副業への影響

令和7年度の税制改正で、基礎控除と給与所得控除が見直されました。基礎控除は、合計所得金額132万円以下の人で95万円に引き上げられたほか、合計所得655万円超〜2,350万円以下の区分では58万円が恒久措置として定められています。給与所得控除の最低保障額は55万円から65万円に引き上げられました(令和7年分以後。源泉徴収への反映は令和8年1月支払分から)。

なお、合計所得132万円超の上乗せ区分は令和7年・令和8年分の経過措置で、令和9年分以後は58万円に戻ります。時限的な扱いである点に注意してください。

副業の申告ルール自体(20万円ルールや所得区分の考え方)は従来どおりで、改正で変わったわけではありません。控除の引き上げによって課税最低限が上がる方向にあるため、所得が小さいうちは負担が抑えられる場面が増えると考えられます。具体的な税額への影響は人によって異なるため、自分の所得区分と控除をもとに確認してください。

参考資料・公的一次ソース